時経りて/
前澤 薫
ああ、陶酔の果ては
干からびた礫のよう。
時経(ふ)るごとに色褪せ、
あなたの固く締まった乳首は
砂粒となり散ってしまった。
赤く爛れた夕陽は、
あなたを染めた
最後の証のように欲深い。
あなたの肌は黄金(きん)に照らされ、
双眸は漆黒の欲望を湛えていた。
そして、暫くすれば陽は落ちゆき、
色彩は全く失われ、
一日の終(つい)が訪れる。
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