なすなく/
前澤 薫
なすなく
思いは果てる。
プラットホームに貼り付くガム。
私を置き去りにしていく人々。
重しをつけた足で階段を下る。
途絶した時間を思って何になろう。
交差する歩道橋。
肩が落ち、げっそりした獣になったか。
スーツ姿の会社員。
ジーンズ姿のおにいちゃん。
男たち。
瞳、顔、胸、肢、足。
どれも似つかない。
ああ陽だまりは知らぬ影で埋め尽くされ、
仕方なく私は褥に潜り込む。
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