玉蜀黍砂漠/A道化
 



夏の玉蜀黍畑が夏に朽ち
私は鼓動を探ってうずくまった
途方も無い大気の、余りの光、余りの熱
玉蜀黍の呼吸には錆びて乾いた砂が混じり始め
焦がれるように焦げながら体躯は空に触れた
その脇では用水路が
切り傷の出来るときに似た音を立てていた
私はうずくまっていた


此処にいることを、私が忘れたらば
私は何処にもいなくなることが出来るだろう
途方も無い大気の、余りの光、余りの熱
蒸発寸前の眼球と空の間を埋め尽くす玉蜀黍の体躯の
緑、緑、緑、と、それを侵す錆、錆、錆
私は体に血が流れていることを
まず、くらくら、信じられなくなり
次に、くらくら、忘れかけ

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