【恋しいだけ】/琥霙ふうり
とある真夜中、の事
苦味薫る、珈琲缶を片手に、握りしめ
渋さを漂わす、煙草は片手に、塞がった左右
(煙草、吸いながら、飲み物を口に、含む人っているでしょ?)
それでも唇、は物足りなさそう、に
むぐ む、ぐ
(癖、なんかじゃ、ないの。)
胸が、きゆう、と鳴く
私、しか、いない部屋
視線は、どこか
遠く、遠く
(アルミ缶や煙草、に、口付けしたって、虚しい、だけ、じゃない?)
恋人、と別れ
かれこれ、1ヶ月が過ぎ、て。
「はぁ……」
溜め息は、白く、空気
へ、溶け込んでいった。
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