ただただ/松本 卓也
窓ガラスに映る赤ら顔の男を
一瞬、俺ではない、と否定
喉の違和感や肩の痛みが
何を教えてくれている
頭痛胸焼け自己嫌悪
孤独を幾重に積み上げて
言の葉は溜息に掻き消える
半笑いで開いた薄目に
責任と自虐の隙間を垣間見て
今日の絶望と明日の現実
未来は時を奏でる傍観者
一刻も早く閉じた空間から逃げ出して
残った心を居間に飾って茶でも啜りたい
問いかけるたび圧し掛かり
口を開くたび朽ちていく
水溜りに浮かぶ
青白い瞳をした
現実味の無い偶像は
ただただ
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