超、エル。/前澤 薫
 
読点に、
深い意味合いを、
持たせ、
それは刻印される、
傷となってしまった。



エル


我等も、
彼等も、
金が金を孕ませ、
欲が欲を孕ませ。
欲望は肥大したが、
ああ交わりはなく。

我等彼等を超えなくば、
奈何せん、
セクスができず、
困り果てるでは、
ないか。

読点が、
傷だとしても、
それを乗り越える、
滑らかな舌が、
あるのであるから、
だから、
ああだから、
ここは、
軽口を叩いて、
垂涎し、
傷を舐め合い、
読点を、
溶解せしめることが
できれば
それで

遥かなる読点は
世紀を超えて
隔てていた海原から
消えゆく

交わろうではないか
互いが神々しい時を
送らんが為に

分かつ読点、宜しく、海は
我等が世紀を超え
我等が天空を超える
その日々は日常となり

彼等が国の
ライト兄弟が発明した
文明の利器を使って

我等と彼等は
いつだって
滑空し合う

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