研究「緑川びの」(3)/生田 稔
 
研究「緑川びの」(3)

 三回目となる、緑川さんの作品はますます私の考えの中に深くいりこんでくる。彼女の形而上学とも言えるものがわかりだし、そして自分の内部でそれが、一層深化しだす。私は緑川作品を古いものから順に取り上げているが、彼女の作品に、一種の信用を置いている。三篇づつ取り上げその先は読まない。読むたびに新鮮なので、それがよいと考える。あらかじめ全作品に目を通し…というやり方はしない。手間を省くのでは決してない。
 では「満月」という作品を見てみよう。


満月
緑川 ぴの

向かい愛
M字に開く股
互いの脚からませて
剥き出しの生殖器
くじるように指先
で弄び
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