Dream Land /服部 剛
放浪中の乗り合いバスで
旅の鞄を開けたら
電池の抜けた
目覚まし時計が
ぴたりと時を、止めていた。
2本の針が指す時は
午前5時30分
あの朝旅を始めた僕が
心許ない足取りで
玄関のドアを開いた
夜明け前の時刻
あれから僕はいつまでも
宙を漂う
一枚の葉となり
風の想いに身を委ね
今日も
世界の何処かで
待っている
愛しい誰かに逢いにゆく
全ての夢の残骸を
水面に浮く骨片のように
世の最果てへ流してゆく
人生という川の畔に独り立ち
旅人は今日も呟く
good old worl
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