無垢/前澤 薫
 
 君の丸顔を
 指でなでる

 ああ何てなめらかな輪郭であろう

 このひりひりした感覚
 ドットの集合体みたいな欲望に
 火はつかず

 ああそれは君が表情を変えないからだ。

 瞳がオリヤンの光のように輝き
 鼻梁は低く聳え
 唇は薄く潤う

 その造形たるや無垢の調合を湛える

 ああ、そして私はどうにもならずに

 諦める
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