夜の鳥/石瀬琳々
 
(夢を見た)


ひた、ひた、ひた、
静かな輪を描いて波紋が幾重にも広がる
光だけが生きているように満ちて来る
ひた、ひた、ひた、
夜の岸辺に足先を濡らして
何ものかが生まれるのを見ている


夜の鳥、くちばしから雫を滴らし
虹のように光るその翼
切れ長の蒼い眼が (まるで夜明けのようだ)
私を貫きはるか遠くを見つめる


夜の鳥、花が開き花粉がこぼれる
何もない所から何かが生まれる
翼を大きく広げて (双曲の虹を描く)
私の頭上をいともたやすく飛び立って


揺れているのは草の葉だろうか
夜の岸辺に白い足指が冷たい
ひた、ひた、ひた、
私の中で何かが生まれる


(あるいは)



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