東京タワー/邦秋
今、東京の夜にいます。
赤羽橋に着きました。
ふと、顔を上げてみたならば、
東京タワーが見えました。
何、となく引き寄せられはじめ、
そちらに向かって行きました。
なかなか近付かないタワー。
やきもきしながら歩いていると、
瞬間、ビルに隠れてしまって、
すっぽり丸ごと飲み込まれても、
それでも直方体の端から、
真っ赤や橙は漏れていて、
見えぬのに消えぬ存在感も
僕の足を動かすその魔法も
すべての人を呼び寄せてしまうのも、
そしてなかなか近付けないのも、
まさか、安易に飲み込まれることすら、
それはまるで、君のようです。
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