おかっぱかみさま/カチキ
 
おかっぱかみさま


混沌がトントンドアたたく


高速飛ばして辿りついた四畳半



おかっぱあたまがうなだれて
ハナウタまじりでうなだれて


夜がよく似合うこと
小雨がよく似合うこと



エンドレスで光るテレビと流し台の鳴らないギター
ベッドの上でとても無防備なおかっぱ
凡人には触れまい
さわれない


無力感はおいしくない
栄養にならないよ


認識を求める
存在価値を求める



くれくれ精神万歳だ

つまらない器に溢れるくだらない日常
才のある人にはわかるまい凡人の日常



二人きりなのに

この四畳半は
おまえがあのこがわたしがおれが
だれが主人公なんだか分からない物語


わたしを認識しない四畳半



そんなところに用は無いと
期待はずれのお別れにさいなら言わずにドアを出る


外はあまりに寒い

温度差にやられてわたしはうなだれる


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