冬春夏秋/瑠王
 

始まりに全てが生き絶えることで

ようやく中身に潤いが満ちてくる

雪が蒲公英(たんぽぽ)の種子のように

大地一面に真白に根づく


かつてのたぎりを冷まして

それらが大地の胎内に到達する頃

世界の彼方からようやく風がこちらにむけて出発する

そして長い旅の末
異国の香りを運んでくる

ひきかえに私は記憶を植えつける

どこかで蕾が開くようにと

誰も知らないくらいささやかな祈りを込めて


新しいたぎりが世代の道を歩みだすと

ようやく終わりがやってくる

そう、ついえることのない終わりが!

やはり終わりには彩りがなければならない

少し乾いた鮮やかな色々が大気に満ちて

月さえ目を閉じて夢見る

まばゆくて奇跡に溢れた

そう、ついえることのない終わり

全ての呼吸が

一瞬にしてとまってしまうような




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