自殺列車行先地獄/AKiHiCo
私の前に古びた列車 停車
ドアが開けば
何も考えずに足を踏み入れる
切符 其れはこの生命
垂直に落下してゆく中で
悲しみを纏い 喜びを棄て
私は今 死へ 無へ 堕ちてゆく
何もかもに絶望
生きる事は最早苦痛で
しか 無くて
一本の蝋燭を持って
滴る蝋 床に落とせば
呼吸が苦しく 緩やかに
終焉の世界が見えてくる
車窓は晴れ渡り 青
乗客は無表情で 蒼
言葉は何処にも無く
笑顔さえ凍る内側
誰も憎まず恨まず愛さず
大切なものは 凡て
壊して砕いて詰ってきた
喉が焼ける臭い 胸に刺さる針
指先が切り落とされる
爪先が宙に 浮く
白と青の丸い錠剤 液体の
眺め続ける車窓の世界は
美しく蓮の花 乱れて咲いて
やがては散るのだろう
霧も無い 晴れ過ぎた空
向かうは恐らく 地獄
車掌が一礼 車内を見回す
それでは皆さん 蝋燭の火を
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