アユミ/きるきすみー
 
流行の前髪のために私は髪を切りました。
ばちん、ばちん、ばちんばちん。
長いツインテールは黒くて細いゴムでくくりました。
ツインテールで空を飛んでみようか、と
思いながらシャーペンを耳にかけました。
赤い背表紙の文庫本を読むのは
月が降りるのと同じ時間に読みました。
流行についていくのは難しいから、と
けれど
ついていかないのは苦しいのです。
「インキナコダネ。」
といわれるのは辛いにきまっているのです
ポニーテールで敵を斬ってみようか、と
思いながら可愛い服に手をかけました。
「おすすめ」
そう書いた札が近くにある服しか見ない様になりました。
歩んで行くうちに皆が
[次のページ]
戻る   Point(0)