私と彼/前澤 薫
 
突き出された尻に尻をつける。鏡を覗くと、二つの体はY字を形づくっている。太い腿と細い腿。毛に覆われた脛と白い肌が剥き出しになった脛。顔をこちらに向け、訴えるような熱い目をしている。淫靡ではなく、真剣な眼差し。太い眉が凛凛しさを強めている。仕掛けたくなる。顔を歪め、体が変化していくさまを見つめたい。灼いた肌が黄色く光っている。腹筋が均等に六つに割れ、息づいている。肌に触れる。少し驚いたように、ぴくりと動く。唇がかすかに開かれ、口元が緊張したように引っ張られている。獲物を捕らえたいような欲望が擡げる。関節を曲げ、尻に爪を立てる。そこだけが白く浮き立つ。視線が下半身に注がれていて、息をかすかに吐いている
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