ニューアンティークバード/千月 話子
度繰り返しただろう
新しい命を孵化させて それを
この部屋では
少しずつ収集した古い古い本の
あらゆる背表紙から
小さな花の芽が生え始めたばかりで
私の肩甲骨は浮き上がるように重くなっていく
もう いいでしょう
私のを産み落としたいのよ
私の新しい命を
明日から背中の割れる音がした
古い家は様々な花や草に覆われて
私の長く尖った爪を突き刺して
窓の隙間から切れ込みを入れると
青い空が広がっているだろうか
私もまた殻を破り続けて
長い夢を見続けるのだろう
そして
現実と非現実の世界を
過去と未来を
飛び続ければいい
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