がれきの工作 ?/《81》柴田望
 
がれきとは心のありかたであり
 クニのありさまに近い

■事件現場はあっという間に片付けられ
 何かあったことさえ誰も知らない
 われわれはトリアエズナントカスルのは上手いよ
 トリアエズナントカヤリマスで長いこと食べてきたんだ
 こつこつ土台を敷きなおす暇などなかった
 足腰弱くぐらぐらと高いビルを建てる奇術を競い合った
 トリアエズ不在のまま、しばらくの間替わりをたて
 ビルががれきになったとき、役不足さに気づいたが
 もう随分前から、ほんとうにいなくなってしまった
 教室の窓からいくら眺めても
 空き地にも、あきばにも
 がれきの下に埋もれてもいない
 それならばいつまで居たのか
 いつからいなくなったのか
 ちょっと目を離した隙に
 ちょっと手が離れたとたん
 まる焦げに焼かれて死んでしまった
 われわれのなかにいた小さな人
 小さな人、小さな人、小さな人、、、
 
■指名手配のプロトコルに顕在意識を合わせろ・・・
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