片隅に地図の幽霊/
小池房枝
地図は自分を作った男が好きだった
描かれた国は魔法の国おとぎの国
けれども土地を歩いて作られた地図だった
船乗りになった少女は少年に指輪なんて贈らない
それぞれの国のそれぞれの地図と
故郷の地図とを送った
地図は人を案内する
けれど地図はまだ人を案内したことがない
夢の中でしか夢の中へと
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