干潟の風景〜亡者終章/草野大悟
あゝ
見よ
この無惨を
乾ききった子宮を
この国のこころのような
無数のヒビ割れから
びゅうびゅうと吹き出す
夥しい亡骸たちを
陽は香り
空は広がり
あの日とおなじように
雲は流れてはいるが
もう
二度と
ここに
あの命たちが
躍動することは
ない
ていうかあ〜
ここ
ついこのあいだまで
海
してたんだよ
すっかり
風化してゆく
人の記憶の愚かさを
にやり
横目でながめ
ほら
今日も
なんにもなれない
資本主義の亡者どもが
この星の
首を絞める
戻る 編 削 Point(2)