背中/桜 葉一
 
いつも追った背中は
大きくて がっしりしていた

僕の小さな背では届かなくて  
小さな腕では抱きつけなくて
優しく差し伸べられる手に抱かれて
腕いっぱいの背中の上で見た景色は
まるで別世界だった

今僕の腕の中に
丸く小さく収まる真新しい背中は
暖かくて 柔らかい

スヤスヤ眠る君は
一体どんな世界を見ているのだろう
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