少女について/山中 烏流
 
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「瞬き」を覚えた日
揺れている睫毛の音が
あまりにも、鮮明に
聞こえたものだから
驚いた私は
理由もなく/咄嗟に
一つの揺らめきを
殺してしまいます

手のひらで
しばらく転がしたあと
吹き飛ばした、それは
果たして何処へ
去ったというのでしょうか


あの日から
瞬きをする度に
そんなことを考えては、また
一つずつ
殺してしまうのです

戻らないことくらい
今の私には
分かっていると、いうのに



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