少女について/山中 烏流
 



例えば
結わえた髪を解く仕草や
袖口を正す背中
傾いた眼鏡を直す行為を
指差すひとが
いてしまう、から

靴下とプリーツの隙間
誰かの視線が
それを、過ちと厭う度
私は唇を結び
たくさんの秘密や、様々を
その
膨らみの中に
しまい込むのです


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延々と咎められた
爪を噛む癖は
昨日、砂場で溺れた時に
どこか奥の方で
落としてきてしまいました

そのせいか
手持ち無沙汰な
私の指先は
机上でくるくると遊びながら
何か、を
探しています


小さく鳴く歯軋りに
砂の味が、混じって


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