夕暮れの電車の、スピードで/鈴木まみどり
 
ほっといてくれ
もう
悔やむことはなにもないのだから

汚れたガラス窓に
映るこの街をなぞって
私は
ラヴェンダーの空に泣く

そうすれば、もう
明日を謀ることさえ困難だ

さわるな
ほっといてくれ

今となっては、もう
無関係に深くなるこの空だけが
私にしみいることを
ゆるされる

戻る   Point(1)