刹那/きるきすみー
だれかがわたしに言いました。
今一瞬の私を忘れないで
と。
たった十八文字で出来た寂しい言葉だったけれど
確かに私の肺を揺らした
つー、つーー。
血は手首を流れてゆきます。
それをザラついた舌で舐めるのですから、
首がゾクリと身震いするのです。
これだけ刹那。
一と棒と一と零を十八個。
とても細かいのに
鈍い色した僕の耳は
そんな小さな一つ一つの君を見ていられないよ
と。
冷たい爪先がもっと冷たいフローリングに
ぺたりとくっつくのですから、
君は吐気に襲われます。
つるり、
あなたは私を見てくれないの?
と。
白い顔に空いた五つの穴は
ぱちくりぱちくり刹那に動くのです。
きっとわたしは思うのです。
僕が君をみていなくても、
わたしが君を見ていると。
遠いところにいてもきっと
僕らのしせんはぶつかって。
せつな、誰かきっと。
1/1000000000000000000
細かい数字だけれど、
わたしはきっときみをみる。
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