煙草/光井 新
 
火のついた命のみじかさを
知っている

あの人が煙と遊びながら
笑いとばす
わたしは、こうしてる間にも
どんどん灰になっていく

手の中で燃え尽きていく
その生き方に
自分もいつかは道端に捨てられる
そんな事を考えてしまう

掴みどころのない
長い指がマッチを擦れば
さっきまでの満足感は幻想だと言って
吸い込まれた過去を、吐き出している

そんな事を
死ぬまで繰り返す
恐ろしさに
むせかえりそうになる

ずっと
そばにいれば
目に染みる
恋心、よ
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