オルゴール/るか
スチックの玩具に
涙の粒が落ちる
が
そこにあの子の姿はなく
からっぽの部屋のドアを叩くのは
文字の消えかかった
表札ばかりで
それから
うたう鳥の羽根をつつむ
手のひらのような物語を
ぼくたちは捜して
からっぽの心に
広がる草原のうえに
鳥を放してやりたかった
かごをひらく合鍵を
やりきれない自由を浮かべる
空の
どこかに求めて
ぼくたちの鳥は、預けられたまま
誰もいない部屋の
つめたい鳥かごのなかで
ひくい声でうたっている
言葉を奪われて、
ぼくたち は
ただただ 獣のように
呻いては
果てて
ゆく
(この幼生の独白は/いつか
意味を/帯びること/が
できますか )
せつないぼくたちの
あこがれ
よ
}
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