yoru<夜>/ナガシー
目が覚めたら まだ外は暗かった
昨日の雨のせいで外はいやな湿気がただよっている
静寂が世界を支配している
この静寂はあまり嫌いじゃない
何も考えず
頭の中を空っぽにしているとき
一番大好きだ
体の力が抜けて 脱皮したばかりの抜け殻のように
今自分の体はすべての支配から逃れている
ただの静寂だけがそこに存在する
目は外の風景を見ているはずが
その情報は脳まで伝達していない
植物人間のように
自分が何かを考えようとするが
だがもう一人の自分がそれを抑制する
いつの間にか寝ていたのだろうか外からは明るい日差しが差し込んでくる
静寂の世界から引き戻された
とても気持ちいい朝だった
でも心に黒い点は染み付いている
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