88鍵のためのエチュード/雪の日/海里
 
天の窓辺
指先の遥かに
兜率の天からのマリンスノウ

よくわからないけど
かわらないものたちの
ひそやかな密度

粉雪と呼び交わすように
震えている
天井の優曇華

冷蔵庫の中で
耳をすませている基準タンポポと
未生のチューリップ

部屋の外では
咳、雪、子狐、こんこん
君が差し伸べている温かな腕(かいな)
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