あの柵(跳べ)/風音
 
例えば
柵があるとして

気軽に助走をつけて
ひらり、と跳ぶひともいると思うんだ

でもボクは
柵の前で
怯え躊躇して
うずくまってしまう

そして
耳を澄まして
遠く遠くの電車の音や
車に引き裂かれる
空気の音を聴く

森の豊かな木々の香りや
雨の香りを吸い込む

そんなことしてる間に
柵はどんどんせり上がって

ボクの手には
負えなくなってる

今までの
うずくまる自分を励みにして

こんどの柵は
なにも考えずに
跳ぼう、とおもうんだ
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