無力化/高橋魚
 
舟、
から落ちた
青年の眼は
右往左往し
私に助けを求めた

私は
まるで彼だった私を探し
見つける
見つけたのだが
すでに、息をしていなかった
死んでいたのだ

死んだ体ではわからない
生きている体の感じることなど
わからないのだ

しかし、
彼も死んでゆく
そのことだけが
私にはわかるのだ
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