屋内 暖色灯/鎖骨
あらゆる成功が、もう
起こりえない予感に冒されて、
そのために、もう
赤茶けてしまった、ている、信念さえも
切り売りしなければならない
症候
めぐるたびに春は、鮮やかさをうしない
思い起こされるのは、もう
雑踏と埃の匂いだけ、
それだけで
女の子たちは、可愛い装いで
天体や将来の話をするのが好きだね
でも、それは嘘だろうと思う
彼女らが好きなのは太陽系でも銀河系でも
あらゆる事象の美しく滑らかな表面でもなくて
レース織り布の言葉遊び、あまい体液交換
ぬるい汗の掛け合い
煙った呼気が覆う天井
栄えていくつもりで
個と現実の価値を妄信するためには
盲目にならなければならないなんてなんて皮肉
おしなべて黴ていくだろう
気づけない速度で
陽が、落ちてくるよ
はやく帰ろう
あたたかいご飯を食べるよ
戻る 編 削 Point(2)