夜航/山中 烏流
超えていく、
日付の壁が
目まぐるしい程に光るのを
横目で蔑みながら
今日の境目を探す
誰も、私のことを
見てはいないから
急いで履いた靴下を
だぼつく
という理由だけで、振り落とす
面倒なら既に慣れたであろう
あの、三日月の湾曲に
覚えたものは
どうしようもないいやらしさ
布団が船になり
夜風に満たされた部屋で
渡航の仕方を思い出す
星の照明は
綺麗過ぎてしまうから、要らない
代わりに
小さな蝋燭を手にして
行く先を睨み付ける
風が、生温い
流行り廃れた言葉を
無邪気に甘える子供たちへ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)