夜航/山中 烏流
 



超えていく、
日付の壁が
目まぐるしい程に光るのを
横目で蔑みながら
今日の境目を探す

誰も、私のことを
見てはいないから


急いで履いた靴下を
だぼつく
という理由だけで、振り落とす

面倒なら既に慣れたであろう
あの、三日月の湾曲に
覚えたものは
どうしようもないいやらしさ



布団が船になり
夜風に満たされた部屋で
渡航の仕方を思い出す

星の照明は
綺麗過ぎてしまうから、要らない
代わりに
小さな蝋燭を手にして
行く先を睨み付ける



風が、生温い

流行り廃れた言葉を
無邪気に甘える子供たちへ

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