『その後』/東雲 李葉
 
横たわる白い身体に
そっと 口づけを
愛しいと感じるだけの
幼い気持ちを吸い込んで
冷ややかな速度で萎む想いを
止めることが出来なくて
愛している、と熱を持った言葉も
今はこんなに頼りない


出会って 恋に落ちて
幾多の困難を乗り越えた
その物語の主人公は
確かに 君と僕のはずだったのに


疲れてしまっているんだ
演じることにも観ることにも
もう第三者に戻りたがってる
僕は舞台を降りるよ 後は君の独壇場だ
安い台詞を吐きながら
お姫さまに傅く僕
王子さまにはなれなかったよ
後は一人で踊っておくれ


何を考えることもなく
つっ立ったまま動く
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