シルエット/いとう
さかなにはさかなの
けものにはけものの
くらい、影があって
さかなにはさかなに
けものにはけものに
それぞれのくらしと
それぞれのねむりが
境い目の波に
夜の月明かり
揺れる円の中
くらげが生まれ
海月と呼ばれる
たいようがのぼって
いちにちがはじまる
さかなにはさかなが
けものにはけものが
それぞれ寄り添って
なにかをころしあう
さかなにはさかなの
けものにはけものの
それぞれのすみかと
それぞれのはかばと
境い目に海月
目覚めないまま
消えていった
戻る 編 削 Point(26)