シルエット/いとう
 


さかなにはさかなの
けものにはけものの
くらい、影があって
さかなにはさかなに
けものにはけものに
それぞれのくらしと
それぞれのねむりが

境い目の波に
夜の月明かり
揺れる円の中
くらげが生まれ
海月と呼ばれる

たいようがのぼって
いちにちがはじまる
さかなにはさかなが
けものにはけものが
それぞれ寄り添って
なにかをころしあう
さかなにはさかなの
けものにはけものの
それぞれのすみかと
それぞれのはかばと

境い目に海月
目覚めないまま
消えていった




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