存在証明/ゆうと
飛んでく
飛んでいくのは
ぼくではなくて
ビニール袋で
ビニール袋の
ぼくである
風が強いな
それでも飛ばされない
ぼくは強いのか
、いや
ぼくは弱いのだ
どうしてかそれだけは
ぼくは充分に
知っている気がしている
こんなのは簡単に
ゴミ箱に捨てられるような
紙くずだ
それでもぼくは
握り締めている
それに、
意味はないのだ
これっぽっちも
意味などないのだ
だけどぼくはそれに
価値があるような気がしている
値段やレッテルなんかじゃない
定規や計量スプーンなんかでは
到底はかれそうもない
{引用
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)