ネガイ。/終
ネェ、お願いだから。私が代わりにいっぱい泣いてあげるから、泣かないでほしい。
もう君は応えてくれないから。終わりだよね、慰めることできない。
冷たい君の指ばかり思い出しては、なぞる。
君が電話しながら坂を下る。
うつむいてこっちに視線を飛ばす。
応えてくれないことはわかってるのに。
最近、ずっと君のことばかり思い出すんだ。
文字を書こうとすると君のことばかり思い出すんだ。
ネェ、早く忘れたい。
少ししかない思い出ばかり並べたってなんになるのさ。
君のぬくもりが、薄っぺらく揺らいでいる。
あぁ、冬だね。
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