蛇行/aidanico
 
み付いていた白髪だった。虱はそのころ白熊の毛に寝床を見付けようとしたが、何しろ自分も相手も白いので何所までが自分で何所までが相手なのか判らなくなり、虱潰しに黒い処を探すと何時の間にか牙が上から落ちてきて潰れた。白熊は少し不快な触感を味わったが直ぐに海に潜ったので塩味に紛れてなくなった。海の上では白鷺が、何所で聞いたのかは知らないが、戦争がアルプスかキューバで終わったという。メキシコかも知れないぜとセイウチが横槍を入れる。アラスカでは一万円が配られるとか配られないとか、呑気な噂が先行している。それに目をつけた不逞の輩が、給付を前借できますと商売を始める。猟師が鮫に襲われたという。何所の誰かは誰も、知らないのだが。
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