唯一の秩序/エルメス
 
色んな人がいる。



楽しそうに騒ぐ人達。

ゆったりと話をする人達。

孤立している人達。

あちこちをうろうろしている人達。



教室という名の小宇宙を一目見渡すだけで、そんな当然のことはすぐに解る。



僕が好きな人は、沢山いる。

僕が良く知らない人も、沢山いる。

僕が嫌いな人も、少しいる。



これも、当たり前。

嫌いな人がいない、なんて、そんな薄気味悪い精神の持ち主はロボットくらいである。



命をかけて守りたい、と思う人が、少しいる。

殺してやりたい、と思う人も、少しいる。




ただ、死んでもいい人は、いない。




こんな、字面にすると馬鹿みたいなことを、それくらい大切で当たり前なことを、

正しく理解している人は、あの小宇宙の中に、いったい、どれくらいいるのだろう。






少し、悲しい。だが、腹が立つ。
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