冬風が泣く/北星三天
 
 
 
 
 
 
派生する
頼りない糸
喉が焼ける叫びを
声に換えて手繰る
 
 
 
風が泣く
 
 
 
誰に話しても
つうつうと
話し中の合図だけが
耳を打つ
 
 
 
奥で風が泣く
 
 
 
忘却は螺旋しながら
知ることの無い彼方へ
飛び立ったまま
 
振り返る僕自身を
息が溶けるほど
抱きしめる
 
 
 
また風が泣く
 
 
心情の柱は
斜線の入った
日常の壁にもたれかかります
 
 
 
溢れる静寂という
音の無い音に答えます
 
 
 
 
影を隠して
 
 
今日も
 
 
 
 
冬風が 泣く
 
 
 
 
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