あまつつみ/鈴沖 雄太
 
――ほら、森がざわめいているよ、
  静かに、静かに

最初、の
一滴が
少年の上気した頬に落ちる


 (それから)


飛び立つ鳥の羽や
腐葉土の上に打ち捨てられた生物の死骸が
重く静かに膨れていく


 (そのとき)


私たちは/私たちの
清潔な部屋の中で
ビニール製の小ぶりな地球儀を
くるくる
くるくる
回していた


  「すりがらすの表面を、雨が伝っていくね」

   私はそう言って

  「すりがらすの裏面を、雨が伝っていくよ」

   ムームはそう言った


 (それから)


長い午後中
雨は降り続
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