嚥下/ホロウ・シカエルボク
傷み過ぎる眠りに夢を忘れた、翳りながら覆される朦朧とした光、俺の脳内には
目覚めと共に忘れてしまう残像だけがまたたいた―残像(現象の幽霊たち)
部屋の隅に転がるとぐろを巻いたストッキング、持主とはもう長いこと連絡がつかない
留守番電話は大事な要件の前に一杯になってしまう、再生しろ、記録出来なかったことそれだけを
プラスティック容器に詰め込まれた慰み、指先で擦れて泣声の様な音を立てながら…何故というわけもないがほとんどを捨ててしまう
喉元を滑り落ちる生半可に温かい物体の感触(深く考えたら吐き出してしまう)
見送るための歌なんか俺は歌わない、たったひとりで
こじ開けなけれ
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