ミクロ分析/木屋 亞万
 
った

毎日、狙う心臓の位置を確認して
首を切り落とす角度を考えていた
みんな怒れる陽子の計略だった
光子は意地悪な助言ばかりくれた

わたしを踏みとどまらせたのは
ひとかけのドライアイスだった
(散々わたしの指をやけどさせた後、消えた)
(死ぬ理由も生きる理由も、別に、何でも良かった)
ドライアイスが消えやすいように、わたしは泣いてあげた
(それはケーキを冷やしておくためだけに生まれたドライアイスだった)

まだ誰の胸にも抱かれてないし
誰も胸に抱いていない
(身を委ねることへの憧れがあった、その逆も)
大人の恋をするまでは生きていよう
それまでの間、わたしの心はドライアイスになるのだ
冷たすぎて、触れる手を火傷させるような心になるのだ

そうして今も生きている

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