この味しかない/K.SATO
釜 鍋の底に油をゆでた
僕はどこへいくのだろう
知っていることは
知っていることなのだが
ペンションにきらめいている輝きで
イソギンチャクが透明な小魚の君に
お肌の白さを比べた
愛情へ移るひとつひとつを
薄い緑のこげ茶たちは このあたりなのだろうか
それとも
がさがさと瞳のむこうのどこに揺らいで
山の幸を見た壁に
君の瞳はまっさらな光を爪に
カニ、キノコ、タケノコなどを湖の頬に
比べていると
端でそよいでいる枝が銀色に、上の方で交差するのを見た
中国を、どんな皮に体があのとき映ったのだろうと
麺の温度へと
ザルそばのつゆをすすりながら
「この味しかない」と。
サウジアラビアを作る、
醤油。運んできた麺に大豆は
街の知らないことでもある
生があるということに
僕らと海は港で戯れをくりかえしている
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