宿題/ヨルノテガム
 
んど居なくて
 贈りもののように現れる
 宝探しみたいに鼻がきいてコツはあるようだけどね
 取り込んで忘れてしまうんだ
 風邪のことは忘れたよ
 名前つけてないからね
 皆が寝静まった夜、昔ひいた風邪の記憶が一列に
 名前をつけて甦る
 点呼するのはわたしで、クシャミで返事をする者や
 ひどいセキをもらす者、眠った者がうなされている
 熱がひとり欠席していて、それを探しに行く
 教室を出て 熱を探しに行く
 似た奴で間に合わそうかと思う
 似た奴で間に合わそうかと思う
 走ったときのそれや、人を想うときのそれで
 何かうまく代用して、皆が、集まらない者が、
 集まればいいと思う

 熱の記憶が太陽だけ咲いた空を寄越す
 熱い、熱いのは真昼の太陽、昼下がり
 わからないことばかりでも 怖れず楽しんでいられた
 意味が手を繋ぎたがっている
 意味が手を繋ぎたがっているんだ 

 泣いたことで発芽した世界と。

 この世界のこと。











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