葉女/木屋 亞万
 
に女のコートを引っ張ると、
トランプタワーのように女のコートはバラバラと崩れ落ちた

青々とした葉が女を取り囲むように輪になって散っていた
あらわになった女の白いセーターにはブナのように緑の斑が残っている
女は溜め息をついた後で少女を叱りつけ、
三輪車の子どもと二人で家に帰るように促した


女は橙がかった茶髪を風に遊ばせながら、小川の土手を散歩している
先ほどの出来事を見てしまった二人のスーツの男を引き連れるように
何も話さず、視線と手招きだけで、女は彼らを誘導していく
山が近づいてきて川はどんどん細くなり、
土手の草むらには無表情の樹木が乱立し始めた

「私には家
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