葉女/木屋 亞万
 
切れ切れの落ち葉は切ない
道の脇に沈みこんで
自分がどこから来てどこに行くのか
道行く人にかさかさと問いかける
けれど誰もその葉が何の葉であるかを知らない

女は三輪車に乗る子どもを道で遊ばせていた
女は茶髪でモスグリーンのコートを着ていてカーキ色のズボンを履いていた
その女に話しかけたのは短髪の少女
小学校の制服に緑色のランドセルを背負っていた

背の高い女は少女のために身をかがめることもせず
知らないわと呟くときだけ少女の方を見た
ランドセルの反射のためか、少女の黒髪が深緑の光沢を見せていた
女は何やら呟いて、子どもと一緒に少女から離れようとした
少女がとっさに女
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