口角をあげてみても。/つゆ
どきんと弾けて音がした。
人のため、と言いながら
結局は自分のことしか考えていないことに気づいたとき。
こんなにエゴイストなのか。それとも人間って誰しもそういうものなのか。
はたまた、私のエゴが強烈すぎるのか。
今までやってきたことは、偽善にすぎなかったのか。
がらりと崩れ落ちた自分のなかにあるなにか。
脆かった。もっと強度はあるかと思っていたのに。
「たとえ作り笑顔でも、笑っていれば楽しくなるから。」
前に誰かがそう言ってた。
だから、事前に笑顔の練習もした。
だけど、いざみんなを前にしたらうまく笑えなかった。
痛かった。
マスクの下の無理やりの笑顔が痛かった。
でもその小道具に助けられたのも事実。
戻る 編 削 Point(1)