An ENPTY OVEN/伊月りさ
 
干あがりはじめている
眼球に満月がうつって
わたしの魚類は決起した

精度をあげた
鱗は
  鋭利になった
  鱗に覆われた
そこを掻きむしる指先は真っ赤
な爪の間に平然と住んでいる
百戦錬磨の闘い人が平然と
闘っている
返り血が
かがやいて、
ひさんして、
燃えはじめるきみの体液は
渇いた眼球に浸透して
わたしはまた誤魔化されてしまった

打ち上げられた
彼女の腹は裂けて
海に流出した、人間の土壌が再生を目指して
崩壊する
海には染みが残り
彼はそれを喜んでいた
生命の生臭さに背けたい目を
細めて喜びを表そうとした

男は満月の
統計学を
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