ありふれたぼくらのラブレター/Giton
 
そらにはあらゆる匂いがある、
くうきにはあらゆる色がある;
ぼくのいろが、くうきにとけてしみてゆく、
きみのにおいが、そらをうすくそめてゆく;

ぼくのとけたそらがきみにふきよせる、
きみのとけたかぜがぼくをだきとめる、
ぼくはうすくかるく、かぜはよわく、
きみがぼくをすい、ぼくがきみをはく:

ぼくはくうきになる、そらになる;
きみはくうきになる、そらになる:
そらとそらがであうとどんないろ?

――はるちかいゆうぐれどきの波のいろ、
つゆぞらに、ゆうだちしぼるくものいろ、
まなつどき、ほしふりしきる闇のいろ、

かわぞこで、梳かれてなびく藻のいろさ――
そらがクモノキレハシデミガイタ
クウキをすったらきみがいた。

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